2016年3月22日午前、北海に面したイギリスの対岸に位置する国ベルギーで連続テロが発生。1度目の爆発は国際空港で、2度目は首都ブリュッセルの中心部にある地下鉄駅構内で起こりました。死傷者を出したこの痛ましい事件は、過激派組織イスラム国(IS)が犯行声明を出しています。
この ベルギー の事件を皮切りにフランスでもイスラム国が絡む テロ が起こっており、欧州全体で不安と緊張状態が今も続いています。
今回は、どうしてベルギーが標的になったのか、今後の欧州方面の渡航に際しての注意点をご紹介します。
欧州方面の渡航は大丈夫?ベルギー連続テロ以降の欧州情勢(前編)
そもそも、何故ベルギーだったのか
世界的によく知られている観光地ではあれど、特に大都市でもないベルギーの首都ブリュッセル。しかし、欧州連合の機構の多くがブリュッセルに置かれています。
ベルギーに置かれている欧州連合の機構は「欧州委員会」「欧州理事会」「欧州連合理事会(閣僚理事会)」「経済社会評議会」「地域委員会」の5つ。
これは、現在のEUがもとはECと呼ばれていた西ヨーロッパ諸国の連合であり、当時地理的な中心であったのがベルギーであったため。EUとして東ヨーロッパの国々の加盟があってからも、そのままブリュッセルを中心とし、分散してルクセンブルク・フランス・ドイツなどに機構を置き続けました。
そんな背景もあり、ベルギーは「ヨーロッパの中枢」と言っても過言ではなく、多くの機構が置かれたブリュッセルで起こすテロというものは、欧州全体に大きな衝撃を与えられることが容易に考えられます。そのため、イスラム国がヨーロッパで一番初めに狙ったものと考えられます。
いつでもどこでも、実行しようと思えばできるのだという訴え
ベルギーはヨーロッパの中でも西の北海側、中近東からは遥か離れた場所に位置しています。中東諸国からの入国に際して、空路は勿論厳しいセキュリティチェックがある上、陸路でも欧州の数か国を通過しなければベルギーへは辿り着けません。
今回のテロでは、欧州諸国が加盟している「シェンゲン協定」の弱点を突き、ヨーロッパのどこでもテロを実行できるのだというイスラム国によるメッセージが込められています。
シェンゲン協定は、加盟国同士がお互いに国境での入国審査を撤廃し、人と物の流通の活性化を目指して締結された協定です。
EU(欧州連合)に加盟している国の多くがこのシェンゲン協定にも加盟していますが、一部の国が加盟しておらず、また、加盟している国の中には入国審査の撤廃を実施していない国もあります。
よって、一度シェンゲン協定に加盟している国に入国することができれば、その協定内の国々に限っては入国審査なくして渡ることができるのです。
まとめ
欧州方面の渡航は大丈夫?ベルギー連続テロ以降の欧州情勢(前編)
そもそも、何故ベルギーだったのか
いつでもどこでも、実行しようと思えばできるのだという訴え