イスタンブールはトルコ西部、黒海とマルマラ海に挟まれている、ボスポラス海峡によってアジア側とヨーロッパ側に分かれた特異な地形を持った都市です。
ビザンツ帝国時代にはコンスタンティノープルと呼ばれ、オスマン帝国のメフメト2世がコンスタンティノープルを陥落させてビザンツ帝国を滅ぼして以降、イスタンブールと呼ばれるようになりました。
観光地として有名なアヤソフィアやトプカプ宮殿はヨーロッパ側に密集しており、日本からヨーロッパ各都市へのハブ空港としての役割も果たしているイスタンブール・アタテュルク国際空港もヨーロッパ側のマルマラ海沿岸に置かれています。
今回はアジアとヨーロッパの二つの大陸を結ぶ、複雑な歴史と地形が生んだ イスタンブール の テロ と世界の動きについてご紹介致します。
アジアとヨーロッパの境界線イスタンブールのテロと世界情勢
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外務省が掲載している警戒レベルは実情とやや乖離気味
現在、外務省がホームページで掲載しているイスタンブールの警戒レベルは「1」です。警戒レベル「1」とは「充分に注意してください」という意味を示しています。
首都のアンカラやトルコ東部も同じく警戒レベルは「1」とされており、シリア国境に関しては退避勧告となる警戒レベル「4」とされています。
他国で見ると、インドはほぼ全域で警戒レベル「1」とされ、ロシアも全域で同じく警戒レベル「1」が設定されています。
テロが起こったのはイスタンブール各地、更には国内全域も
細かい立地があまり有名ではないイスタンブールでは、報道によって毎回空港やその周辺でテロが発生しているように思われがちですが、実はそうではありません。
2016年にイスタンブールで起こった4つの大きなテロ事件では、ヨーロッパ側のスルタンアフメットと空港近辺で1度ずつ、アジア側のサッカースタジアムとやや内陸に位置するガシアンテップ(Gaziantep)で1度ずつ起こっています。
また、イスタンブールのみならず首都のアンカラでも軍を狙った攻撃や自動車爆弾等のテロ事件が発生しています。
リーズナブルでサービスも充実したトルコ航空の拠点空港、アタテュルク国際空港に関して
2016年末の時点では、空港内の保安検査を通過した先でのテロやイスタンブール発便のハイジャック事件は近年起こっていません。2014年2月にウクライナ発トルコ行の旅客機でウクライナ人によるハイジャック事件が起こりましたが、これも未遂で解決しています。
ストップオーバーで一度市内に出るような事情がない限り、イスタンブール乗り継ぎのみでの利用であれば、ドイツやフランスの国際空港とセキュリティ面では大きな問題点はないように感じられます。
なお、トルコはやや政情不安定な一面もあり、軍のクーデターにより2016年7月に一度空港の運行がすべて停止するという事態が起こりました。この事件も未遂として鎮圧されて以降は目立った衝突等は起こる事なくこれまで運行が続けられています。
ヨーロッパもついに電子渡航認証システムを採用
トルコのテロのみならず、昨今の世界情勢の変化により、これまで日本はシェンゲン協定に加盟しているヨーロッパ諸国とはビザ(査証)の相互免除協定によってパスポートさえあれば国際線の飛行機に搭乗でき、そのままパスポートと各国の規定による海外旅行保険加入証明書や帰路の航空券さえあれば入国審査を受けることができましたが、今後は欧州でも米国の「ESTA」やオーストラリアの「ETAS」、カナダの「eTA」等のように、渡航前にオンラインでの情報登録が必要になります。
欧州版認証システムの名称は「ETIAS」(エティアス)、正式名称は「ヨーロッパ旅行情報認証システム(European Travel Information and Authorisation System)」が2020年に導入予定です。
なお、このシステムは中東やロシア連邦・東南アジアを経由する欧州の加盟国を最終目的地とする国際線に搭乗する際にも、日本の空港でチェックインするまでに事前に認証しておく必要があります。
また、電子渡航認証システムは入国を保証するものではありません。これまで通り、入国に関する最終判断は入国管理官に委ねられています。
ETIAS導入国
アイスランド・イタリア・エストニア・オーストリア・オランダ
ギリシャ・スイス・スウェーデン・スペイン・スロバキア・スロヴェニア
チェコ・デンマーク・ドイツ・ノルウェー
ハンガリー・フィンランド・フランス・ベルギー・ポーランド・ポルトガル
マルタ・ラトビア・リトアニア・ルクセンブルク・リヒテンシュタイン
イギリス・アイルランド・フェロー諸島は2020年の導入時期にETIASを導入しないことが明らかになっています。
まとめ
アジアとヨーロッパの境界線、イスタンブールのテロと世界情勢
外務省が掲載している警戒レベルは実情とやや乖離気味
テロが起こったのはイスタンブール各地、更には国内全域も
リーズナブルでサービスも充実したトルコ航空の拠点空港、アタテュルク国際空港に関して
ヨーロッパもついに電子渡航認証システムを採用
ETIAS導入国